「家族滞在」は、「技人国」や「経営・管理」など扶養者の就労系在留資格に”紐付いている”ものです。”紐付いている”とはどういうことかというと、就労系在留資格の許可が無いと「家族滞在」も許可されませんし、就労系在留資格の在留期間が3年の場合は「家族滞在」の在留期間も同じ3年になる、という訳です。
扶養者を含めた家族全員の在留期間更新申請を同時に行った場合、一般的には審査完了も同時になります。しかし稀に時期がずれることがあり、当法人でも就労系在留資格の審査完了通知が届いた1週間後に配偶者の審査完了通知が届き、さらにその5日後にお子様の審査完了通知が届く、ということがありました。入管の審査が混雑しているときに、従前の在留期間満了日の違いが審査の優先度に影響を与えているのかもしれませんね。
「家族滞在」の新しい在留カードの受け取りについて、詳しく解説します。
入管法令では、入管に行って申請書を提出したり新しい在留カードを受け取ったりするためには、原則として申請者である外国人本人が入管へ出頭することが必要であると定められています。弊社のような行政書士がそれらの手続きを行うことができるのは、法令に申請等取次制度が規定されているからですが、あくまでも”取次”であり”代理”ではありません。この2つの違いを明確にするものとして、申請した外国人本人が日本国に入国していることを前提とする、というものがあると思います。つまり、申請者である外国人本人が日本を出国して母国に帰っているような場合は、入管への申請も新しい在留カードの受け取りも出来ない、ということです。
このことに関連して、以下のような3人家族で説明します。
夫:「技人国 1年」の扶養者
妻:「家族滞在 1年」の被扶養者
子:「家族滞在 1年」の被扶養者
3人とも在留期間は6/20
更新申請は、在留期間満了日の3か月前からできます。その申請をする時点で3人とも日本に居なければなりません。
仮に、6/10に3人とも更新申請をしたとします。
入管の審査がいつ終わるかは、分かりません。7月になると夏季休暇の季節になるので、家族3人で一時的に母国に帰国したいという場合も多いと思います。その場合、在留期間の6/20を過ぎていますが、母国に帰国することは問題ありません。(ただし再入国許可、みなし再入国許可の期限については要注意です。)
次に、在留期間の6/20の2か月後となる8/20までには日本に戻ってこなければなりません。この2か月間のことを「特例期間」といいます。入管の審査は、この特例期間内には必ず完了します。ここで重要なのは、審査の完了日は申請の許可日ではない、ということです。審査の完了の連絡を受けて、外国人本人の在留カードとパスポートを入管に提示したうえで、新しい在留カードの交付を受けることができ、この日が許可日になります。もし特例期間を過ぎてしまうと、更新申請は許可されないこととなってしまいます。
上記のような場合は、母国に帰国している間に入管の審査完了日を迎えるかも知れませんね。入管からは、審査完了日から2週間以内に新しい在留カードの交付を受けるようアナウンスされていますが、この点は柔軟に運用してもらうことができます、ただし、現実的な手続きのことを考えると、特例期間の終了となる8/20ぎりぎりで日本に戻ってくるのは危険です。郵送で新しい在留カードを受け取る場合は2週間前の8/6あたりまで、直接入管窓口に行って新しい在留カードを受け取る場合でも1週間前の8/14までには日本に戻ってくるべきでしょう。
例として挙げた3人家族の場合、子の申請書にある代理人のところには、一般的には扶養者である夫の名前を書くことになります。というか、書かなけれなりません。
この場合は”代理人”ですから、子が入管窓口に出頭しなくてもよく、申請書に夫の名前を書いた場合であっても夫・妻のどちらでも申請書を提出したり新しい在留カードを受け取ったりできます。ただし申請書に夫の名前を書いた場合で妻が手続きをする場合は、妻と子が親子であることを示す証拠書類を入管窓口に提示する必要があります。
まぁ実際には家族3人で同時申請し、同時に新しい在留カードを受け取ることが多いでしょう。
では、家族3人で一時的に母国に帰国し、夫と妻の2人だけが先に日本に戻り、入管の審査が完了したので子の新しい在留カードの受取りをすることは出来るのでしょうか?この場合、理屈上は、代理人である夫または妻が子の在留カードとパスポートを持って入管窓口に行くことにより、可能となります。しかしそのためには、子の在留カードとパスポートを国際郵便で日本に送り、また送り返す必要があります。紛失や遅配など思わぬ事故のリスクがありますので、決しておすすめは出来ません。
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